Kawataka’s diary

週末と休日メインで更新中

戦争論 中巻

上巻に続き、戦争論の中巻を読み終えました。

中巻は、戦い方の具体的な解説が出てきます。難解です。1700年~1800年代の戦争の知識を前提としています。ナポレオンとかフリードリヒ大王の戦いをしょっちゅう引用していますので、ついていけないところがあります。
※「戦争論」だからそういう知識を持った人を対象にしているわけで、至極もっともなのですが。

砲兵と騎兵と歩兵のバランス、行軍と休養、山岳や河川での戦い、防御の考え方、給養の見積もり方等々、18世紀の軍人の考察が仔細に書かれているのは興味深いのですが、これを現代で生活する私に置き換えてどうこうできるわけもなく。中巻は、哲学書のようには読めず、古典として読む本でした。

給養の個所から。
P.221 近代戦における軍の給養方法の旨とするところは、何によらず当該地方で産出する物資を、所有者に係わりなく取り上げて利用するにある。
なんてさらっと書いてあるあたり、当時の軍人の補給に関する考え方が凝縮されています。馬車による輸送しかなかった時代ですから、10万人単位の軍勢の小麦粉や肉類を本国から馬車を連ねて輸送するのは現実的ではなく、通過する町から徴発するのが当然だった。
「世帯主としての農民ひとりが貯えているパン用小麦粉は、どこの家でも家族全体を一週間ないしは二週間養うに十分だし、肉は毎日補給できる。それだから軍隊がまだ宿営したことのない土地では人口の3倍くらいは養える・・・3万の軍勢なら1平方マイル当たり2,000~3,000人の人口を有する町なら4平方マイルに舎営すれば足りる (P.222から)」っていう感じで見積もっていたらしいです。ざっくりと、的外れではない。しかし「所有者に係わりなく取り上げて」と言われると農民がかわいそうな気もする。

 

f:id:Kawataka:20190922165456j:plain