Kawataka’s diary

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戦争論(上巻)

クラウゼヴィッツの名著です。学生時代に読もうと挑戦し、上巻の途中であきらめましたが、今回は、デカルトやらショーペンハウエルを読んで慣れていたことが幸いしたか、時間はかかったが読み終えることができました。ただし、まだ上巻です。次は中巻。

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研究と観察、理論的思索と経験とは、互に軽蔑しあってはならない、まして排斥しあうべきではない、理論は経験を保証し、経験は理論を保証するのである。」P.20
なんていうのは哲学書っぽいところがあります。カントだったかで似たような論述を見たような気がします。

まず最初に戦争とは、という議論を展開します。このあたりは有名です。
戦争とは手段」「戦争は政治的行為」(P.56)、「戦争は政治におけるとは異なる手段をもってする政治の継続にほかならない」(P.58)
注)ここにいうところの政治は、内政ではなくてもっぱら外交を意味する

P.142あたりで戦略と戦術の違いを説明しています。
数年前の社内ビジネス研修で「実は、戦略と戦術に違いはないんです」みたいなことを言った講師がいまして、ホントに?って思ったんですが、今回、納得できました。クラウゼヴィッツは区別しています。その講師に再会したら質問してみよう。

時間における兵力の集中(P.314)は興味深い。兵力の小分け投入は避けるべきと思っていましたが、この本では、戦術的には差し支えないとしている。ただ、これは現代でもそうなのか、ちょっとわからず。

国民の堅強な性格と戦争に完熟することとが、不断の交互作用によって互に保ちあうときにのみ、国民は国際政治の世界において強固な地位を保つことができる」(P.286)なんていうのは、いかにも19世紀のヨーロッパの陸軍軍人っぽい。

あと、奥さんの丁寧な序文が泣けます。とても仲の良い夫婦だったんでしょう。