Kawataka’s diary

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アナバシス (クセノポン)

「クセノポン」と打とうとしたら「癖のポン」と変換されました。可愛い。

 

紀元前400年頃、ソクラテスの時代、ペルシア王国の王と王弟の内紛にギリシア兵1万人が外国人部隊として参加しました。
トルコのエーゲ海沿岸を出発し、半年かけてイラクバグダッドのあたりまで到達したが、王の軍勢との戦いで王弟が戦死、首謀者を失ったギリシア部隊は帰国を目指します。その帰国の過程を物語としたものです。

著者のクセノポンは撤退の途中から軍勢の指揮をとることになり、とにかく不平不満を言う部下をなだめ、鼓舞し、時には鉄拳を振るい、まとめ上げます。そういう苦労話です。
追いすがるペルシア軍をはねのけ、道々の土着の部族と戦い、給料は未払いで、兵士の不満も相当なものだったと思います。

終わりがちょっとわかりづらくて、帰国してハッピーエンド、っていう感じではなかった。

 

帰国とはいえ、来た道を帰るのではなくて、イラクバグダッドのあたりから北上して黒海沿いにギリシアを目指すというかなりの遠回りです。
なぜかというとシンプルで、餓死するから。(P.77)
行きの町々で食料を残らず収奪してきたから、同じルートを戻っても食べるものが残っていない。昔はごく当たり前で、食料や騎馬の飼料は現地調達していました。1万人を超える兵士の半年分の食料なんて、本国から輸送する術がありませんから。
(これ、確かナポレオン時代までずっと同じです。クラウゼヴィッツ戦争論にも書いてありました。)

 

クセノポンはかなり苦労したのですが、最後まで報われた感がない。
さらに、あとがきによると、スパルタとの協力関係を問われてアテナイを追放されたらしく、貧乏くじを引いた感じがします。苦労人?

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