カント71歳の時に公表した書です。
タイトルの通り、平和を達成するためにどうすべきか、を解説しています。
1795年の発行です。ナポレオンのロシア遠征が1812年、クラウゼヴィッツの戦争論は1830年の書、この本が出たころ、ヨーロッパは戦争と平和を行ったり来たりの状態だったと思います。カント先生は戦争に心底うんざりしていたんだと思いました。
平和のために達成すべきは以下6項、非常にシンプル。
文庫本で10ページ足らずの量です。
- 将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条約は、決して平和条約とみなされてはならない。
- 独立しているいかなる国家(小国であろうと、大国であろうと、この場合問題ではない)も、継承、交換、買収、または贈与によって、他の国家がこれを取得できることがあってはならない。
- 常備軍は、時とともに全廃されなければならない。
- 国家の対外紛争に関しては、いかなる国債も発行されてはならない。
- いかなる国家も、他の国家の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない。
- いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互間の信頼を不可能にしてしまうような行為をしてはならない。
P.13 平和とは一切の敵意が終わること……平和の定義
P.21 どちらの側が正義であるかを決定するのは、戦争の結果でしかない。……歴史は勝者によって造られる。
P.51 カントは日本の鎖国制度を賢明であったと評しています。アメリカ、アフリカ、東インドを比較に出して。
これらの地方でヨーロッパ諸国が何をしたかを憂いていた、みたい。