Kawataka’s diary

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生の短さについて  他二篇(セネカ)

「生の短さについて」、「心の平静について」、「幸福な生について」、セネカの著作3篇です。

セネカはローマ時代の政治家。歴代のローマ皇帝に仕えたが、ネロ皇帝の時代に死刑に処せられてしまう。
政治家・実務家としての生き方を簡潔に述べています。特に心の平静については共感するところが多かった。

 

 

「心の平静について」から抜粋。
P.92
・取り組もうとする仕事の内容と自分の能力を比較しなければならない。なぜなら行為者の能力は取り組む仕事が必要とする能力を常に上回っていなければならないから。担い手の能力を超えた重荷は、必然的に担い手を押しつぶしてしまう。
・多産な仕事がある。次から次へと仕事を運んでくる。こういう仕事は避けねばならない。
・自由に撤退することが許されないような仕事にも近寄るべきではない。
・手をつけるべきは、終えることができるか、少なくとも終えられると期待できる仕事。
・避けるべきは、活動が思った以上に広範に及び、意図したところでは終わらない仕事。
全くその通り。ただ、勤め人なので、天から降ってきた仕事を避けるのは結構難しいんです。。。

P.93 考慮すべきは、君の性格が実務の活動に向いているのか、それとも閑暇の学問研究や思索のほうに向いているのか、である。…(略)…強いられた才知はうまく応えてはくれない。
これ、会社の人事面談で相談することと同じ。

その他、
他人は選択が必要。その他人は自分の時間を費やすに値するか、を考えないと。P.93
万事を軽く考え、万事に柔軟な精神で耐えるべき。生を嘆くよりは生を笑い飛ばすほうが人間的。P.120
・精神にはくつろぎを。精神はいたわってやり、時には閑暇をあたえてやらないといけない。P.126
とか、共感しました。

 

「幸福な生について」
・自分の精神を高めていくことを目指せ。
・財産は持っても良いが、持つことを追求しない。
  セネカは「財産はもつに越したことはないと思う」P.177と言っています。
  このあたり現実的です。純粋な哲学者ではなく、実務家。
・他人を指弾する前に自分を省みよ。
  これはソクラテスにも通じるらしい。次はソクラテスにする。

われわれは、外見が見栄えのするものではなく、純粋で、安定し、隠れて見えない部分ほど美しさを増す善きものを追求しよう。P.138

幸福な生を手に入れるには、
 精神が永続的に健全であること
 勇敢で情熱的な精神であること
 忍耐強く時々の状況に適応できること
 己の肉体と、肉体に関わることに気を配り、だけど過度に神経質にならないことP.139

財産は持っても良いが失う不安を抱かないように。 P.176

そして最後「他人のあら探しをし、誰彼かまわず臆断している暇など、君たちにあるのか。…(略)…なぜ自分たちの悪徳を省みようとはしないのか、…(略) P.196」

 

セネカ先生は、やっかいな皇帝達に仕え、有名になったが故にあることないこと非難を受けて、かなり苦労したみたいです。そういう苦労がしのばれる3篇でした。

 

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