プラトン先生のソクラテス本、6冊目です。
今回の相手は3人です。ゴルギアス、ポロス、カルリクレス。
カルリクレスがかなり抵抗しますが、ソクラテス師匠は負けません。
最後、カルリクレスは話すのをやめてしまい、ソクラテスの話を聞くだけになってしまう。たぶんカルリクレスは納得していない。だけどソクラテスの言っていることは、間違ってない。
副題が「弁論術について」となっていますが、弁論術を論じたのは前半だけで、後半は政治の仕事における倫理感について語っていました。
ひとは何よりもまず、公私いずれにおいても、善い人と思われるのではなく、実際に良い人であるように心がけなければならない。
しかし、もし誰かが、何らかの点で悪い人間となっているのなら、その人は懲らしめを受けるべきである。
そしてこれが、つまり裁きを受けて懲らしめられ、正しい人になるということが、正しい人であるということに次いで、第二に善いことなのである。
さらにまた、迎合は、自分に関係のあるものでも、他人に関係のあるものでも、あるいは少数の人を相手とするものでも、大勢の人を相手とするものでも、どれもすべて遠ざけるべきである。
なお、弁論術もそういうふうに、いつでも正しいことのために用いるのでなければならない(P.277)
最終的なソクラテスの主張です。
こんなの全部当然でしょ、と思うのですが、わざわざこのように主張するということは、当時の政治家たちはこうではなかった、ということなんでしょう。