「老年について」に続き、キケロー2冊目。今度は友情について。
前作「老年について」は、カトーがまだ年若いスキーピオーとラエリウスに、老いについて語っていましたが、本作では年を取ったラエリウスがスキーピオーを亡くしたあとで、友情について語ります。
(あとがきによると、”老年”では35歳くらい、”友情”では60歳くらい)
「友情の中に求める不動の物堅さの基盤は、信義」
作り事や見せかけをしない。他人の非難中傷ははねつけ、自身疑わず、友が何か悪事を犯したとは考え続けない。そして会話や生き方に快活さが加わらねばならない。(P.58)
「友情を保つのは徳」
徳の中には万物の協調があり、性格の安定と変わらぬ節義がある。徳から愛や友情が沸き上がる。
ここでいう徳は、意訳して「他人への思いやり」と解釈しました。
アリストテレスは、「徳=中庸、ほどほどにね」みたいなことを二コマコス倫理学で語っていましたが、それとはちょっと異なるような気がしています。
友情を解消するときは要注意です。
「友情が叩き消されたのではなく自然に消え入ったと思わせるように」「友情が敵対に転じることのないように」P.65
そうしないと、悪口、侮辱が生まれるから。
だから「早まって愛し始めるな、値せぬ者を愛するな」。
そして、「友情に値する者とは、愛される理由を備えている人」P.81
友達は大事です。