Kawataka’s diary

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哲学原理(ルネ・デカルト)

1644年、デカルト48歳の時の著作です。

冒頭、哲学を定義します。
哲学なる言葉は知恵の探求を意味」そして、「知恵とは単に処世の才能ではなくして、生活の思慮についても、健康の維持やあらゆる技術の発見についても、人間の知り得るすべての事物の、完全な知識を意味する

論理学とかそういうことに限定せず、日常の知識全般を指す。
哲学原理の後半では物理学についての記述が出て来ますし、方法序説では人体についての記述も出て来ました。デカルトは、自然科学者に近いということをいまさらながら知りました。科学者ととらえると俄然親近感がわいてきます。

 

 P.91に正しく哲学するために守るべきことが要約されています。「真面目に哲学し、かつ認識可能な一切事物の心理を探求するためには、第一に、あらゆる先入観が除かれねばならない。」とにかく疑うこと。これがデカルトの教え。

P.35 「真理を探求するには、生涯に一度はすべてのことについて、できる限り疑うべきである」とも。
でも、個人的に面白かったのが、その次のページで「しかしこの疑いは実生活には及ぼされるべきではない」と言っているところです。実生活で疑ってばかりいたら決断できなくなるから、ってことでしょうか。確かに生活し難くなるでしょう。
一般向けの著作だからか、こういうフォローをきちんと入れるところ、デカルト先生に親近感がわきます。

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この本に慣性の法則が出てくるのが超意外でしたが、ちょっと調べたら、ニュートンの前にデカルトが提唱していたとウィキペディアに書いてありました。高校物理の教科書には書いてあったのかもしれませんがまるで覚えていませんでした。(これでもう忘れません。)
P.126 自然の第一法則 一度動かされたものは常に運動し続ける

ただ、第二、第三と議論が進んでいくと、運動量保存則っぽいことが出てくるのですが、ちょっと正しくない。

デカルトは、「量や重さは感覚だから物質の本性ではない」としてしまったからでしょう。運動量保存則を議論するには質量が必要な気がします。
デカルト的には、長さと幅と深さが物体の本性だそうです。)