Kawataka’s diary

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テアイテトス (プラトン)

プラトンの5冊目です。ソクラテス節、全開でした。

知識について、っていう副題だから「知識とは○○である」という結論が出てくると思って期待して読み進めましたが、(途中では「知識とはこうだよね」という発言も出てきたのですが)最終的に全部否定されました。

さすがソクラテス師匠、相変わらずです。でも、不思議な魅力を持つ人です。

 P.230 知識であるのは、テアイテトス、君のいう感覚でもなければ、また真なる”思いなし”でもなく、そうかといってまた真なる”思いなし”に言論の加わってできるものでもないということになるだろう。(” ”とアンダーラインは当方付記)

3つの説すべてを否定。

P.232 君は君の知らないものを知っていると思ったりしないだけの思慮深さを持つことによって、一緒にいる人たちを悩ますような重荷となることが一段と少なくなって、人々とは一層よく折合っていけることになるだろう。つまり、ぼく(=ソクラテス)の技術でできるのは、ただそれだけのことなのであって、それ以上はなんにもできないのだ。

が結論でした。


師匠のダメ出し、今回はいつも以上にやり方が際どくて。。。
P.159から、
テア:あなたのおっしゃったことは今度は至極正しいように私には思われます。

ソク:ちゃんとわかるよ、テアイテトス、君は僕を甘く見ているんだね、何も恐れることはないと思っているんだね。

テア:え?それは一体ぜんたい何のことでしょうか?

 

自分から「こうだよね」と言っておいて相手が同意してからの全否定です。師匠の本領発揮ですね。プラトンの描写が上手いから、こっちもドキドキします。こんな場面に出くわしたらと思うと。
でも、不思議と怒りは沸いてこない。むしろソクラテスについていきたくなる。そういう、人を引き付ける力を持った人だったんでしょう、ソクラテスは。

 

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