原題「シュンポシオン」とは「一緒に飲む」という意味だそうです。プラトンがソクラテス師匠の愛についての語りを書き記した本。
プラトン先生の常として対話形式で書かれていますが、さらにこの本では二重の対話となっています。登場人物が昔を思い出して語る、という感じ。だから、読んでいると又聞きっぽい印象を受けます。信ぴょう性が高まるか薄れるか、読み手次第。
個人宅に集まっての飲み会で、余興として順番に愛について語ることになったソクラテスたちのお話です。だから、要するに酔っ払い達の語り、です。
まず5人が語った後でソクラテス師匠の番となり、ダメ出しをしつつ自説を述べていきます。ただし、自分の説ではなくて、ディオティマの神託を紹介という形をとっています。だから三重の対話形式になっている。ソクラテスは無知を装ったらしい。
愛とは善きものの永久の所有にむけられたもの P.122
愛の目指すものは・・・美しい者の中に生殖し生産すること・・・(すなわち)愛の目的が不死ということにもある。 生殖とは古い者の代りに他の新しいものを残していくこと。人は不断に新しくなる。一切の滅ぶべき者は維持されていく。 P.124~P.127
というところから始まって、最終的には 美の本質を認識するまでになる。P.134
ソクラテスの語りの後で、アルキビヤデスという酔っ払いが乱入してきて、ソクラテスについて熱く語ります。戦場でのソクラテスは誰よりも我慢強く、敗走に際しても泰然自若としていた、とか。(P.153)酒に強い、誰もソクラテスの酔ったところを見た者が無い、とか。(P.154)
アルキビヤデスもソクラテスに心酔していたことがうかがえます。
さらに宴は続き、みんな酔いつぶれて寝てしまうのですが、ソクラテスは大杯で飲み続け、夜が明けてから静かに帰宅した。
酒に強く、我慢強くて勇敢で、滔々と愛を語る、ソクラテス伝説です。