Kawataka’s diary

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愛をめぐる対話 (プルタルコス)

ギリシア人のプルタルコスによる愛や結婚の話です。1世紀後半から2世紀初めの著作とのこと、愛をめぐる対話、結婚訓、妻を慰める手紙、烈女伝 の4編からなります。

特に面白かったのは結婚訓、当時のギリシア世界の夫婦や家庭についての考え方が分かりました。

夫婦は、まずはじめに、意見の相違や衝突によく注意しなければならない。部分部分をつなぎあわせて作られた器の接合部は、はじめのうちこそちょっとしたことで容易にはずれてしまうが、時がたてば密着して、火にかざそうが刃を当てようが離れはしなくなることを知るべきであろう。」P.100
このあたりは納得感がある。

賢い夫婦の家では、何事も両者協力のもとに行われるが、外に表れるのは夫の支配、夫の意思決定である。」P.102
妻は自分だけの友だちを持つべきではない。夫と共通の友を持つべきである」P.106
財産や家は、たとえ妻の出し前が多くても、夫の財産、夫の家と呼ばれるべきなのである。」P.107

P.105 「夫の浮気が止まずに放縦を重ね、娼婦や女中に手を出しても、だからといって妻たるもの、それを不快に思ったり怒ったりすべきではなく、むしろ、夫は私を大切に思っているからこそ、酒をあおっての乱痴気騒ぎや放蕩や勝手放題の振舞いを、私以外の女性を相手にやっているのだと考えればよい。
物は言いようと思いました。女性がこれで納得するかは?。

家を代表するのは男性、女性は一歩控えるのが良い、みたいな感じでした。2000年前も、数10年前の日本と同じだったようです。
ただし、烈女伝にもつながるのですが、素晴らしい女性はこうあるべき、実際にこういう優れた女性がいたんだよ、といったことも書かれています。プルタルコスは女性の優れたところをきちんと書いています。
女性を見下していたわけではなくて、家庭では男女それぞれに異なる役割がある、と主張したかったと理解しています。