Kawatakai’s diary

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ローマ史論 第三巻 (マキアヴェルリ)

マキアヴェルリのローマ史論、最後です。
第三巻では謀反について30ページ以上割いています。マキアヴェルリは謀反について思う所が多かったようです。

謀反を成功させるのにとにかく重要と書いているのが「決して予め話はせずいよいよ断行の暁にならなければ打ち明けない P.47」ことだそうです。至極当然でしょう。
また、君主には「謀反を発見したときには慌てて仇討ちなどをせず、十分綿密にあらゆる状況を糾明し、謀反人らと自分たちとの立場を仔細に考えあわせなければならない。万一相手の人数の方が多いとわかったら、押しつぶすだけの勢力を作るまで気にもかけない様子を見せなければならない。P.71」と忠告したいとのことでした。

賢将たるものは自分の軍勢には戦わざるを得ないように仕向け、敵勢に対しては何とかして合戦を避けさせるようにしなければならない(P.95)戦わずに勝つことを目指すのは古今東西同じ。ただし、自軍に対しては戦いを避けないようにする。

大衆を統御するには刑罰よりも慈愛の方が肝要か?(P.127) 基本的には刑罰が良いと考えていたようです。ただし、治める相手が家来か同輩かで違って、同輩なら遠慮なく刑罰を施すことができるけど、家来なら和やかさを失わず憎しみを買わないように、と言っています。何となく、わかるような気がします。マキアヴェルリの統治論は机上の空論ではなくて実態に即しているように思う。

先頭に立って何かしら提議する人はどんな危険を蒙るか(P.196)面白い視点と思いました。忠告しないと自分の役目をおろそかにすることになるが、進言すれば自分の命や身分が危うくなるかもしれない。人は物事の結果で評価するから、君主が自分の忠告に従って行動して失敗したら大変なことになる。
マキアヴェルリ先生は、こういう時にどうするかを書いています。
意見を述べるさいは、逆上せずに穏やかに考えを弁じたてる。君主がその考えを取り上げるにしても自ら進んでそれに従う気になるように仕向ける。諸君がうるさいのでやむを得ずそれに従うという気持ちにさせてはいけない(P.198)」そうです。
現代社会でも似たような場面があるように思いました。