Kawataka’s diary

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犬がいた季節 (伊吹有喜)

四日市市内の近鉄「富田山駅」近く、公立「八稜高校」を舞台にした小説です。今週発売の新刊。
大学入試と家族の不和が大きなテーマ。いろいろと悩んで卒業していくそれぞれの時代の高校生の話でした。

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帯に「ページをめくれば18歳のあなたがいる」とありますが、確かにその通りでした。
1988年から2000年の12年間が舞台です。高校生たちの日常生活の合間にその時代の流行曲や社会現象が書き込まれているから、40~50歳くらいの社会人が読んだら、どこかで自分の高校時代を思い出すはずです。
私は第3話がど真ん中でした。P.157、P.164そのままの体験をした記憶があります。

 

八稜高校も近鉄富田山駅も(とりあえず)仮名ですが、そのほかの地名や鉄道は実名で出てきます。だから、舞台が容易に想像できました。
湯の山線も内部線も通学路線として当たり前に出てくるし、うみてらす14、鈴鹿サーキット、小山田記念温泉病院、水沢、相生橋、垂坂、ミルクロード。。。
近鉄四日市駅近くの鈴鹿英数学院隣りの鯛焼屋は確かに美味しい。しかし細かいネタを入れてきたものです。市外で知っている人はいないのでは。

向かい合って座ると、足先が触れてしまいそうだ。P.212 
内部線を的確に表現した一文。触れてしまいそうというか、事実として触れます。ナローゲージなので。。。

 

映画に向いている作品と思いますし、どうせ映画化するとなったら、会話は四日市っぽくしてもらえたら、と思います。四日市近辺のイントネーションは、名古屋とも大阪とも微妙に違って、柔らかい感じがします。

 

 

 

 

 

 

 「がっつり」、「さくさくっと(描く)」は、話し言葉で当時使っていたか?もう少し後だったかもしれない。