Kawataka’s diary

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コモン・センス(トーマス ペイン)

トーマス・ペインの「コモン・センス」です。
アメリカ独立に大きな影響を与えた書物とされています。世界史の教科書でおなじみ。

読んでみると、確かにアメリカの人々に影響を与えたであろうことが良くわかりました。とにかく煽ります。解説には、アジテーションではなくてプロパガンダだ、と書いていましたが、読んだ感じではアジテーションです。

当時のアメリ居留地の人々は、独立大賛成という感じでは無くて日和見なところもあったようですし、さらに1976年秋には独立軍は劣勢で撤退戦を戦っていたから、このくらい煽らないといけなかったのでしょう。さすがのアメリカ人でも、内戦となると日和見っぽくなったということを知りました。だれでも自分の土地で戦争はしたくないから、当然と言えば当然か。

 

今こそ人間の魂にとって試練の時である。夏場だけの兵士や日の照る時だけの愛国者は、この危機に瀕して祖国への奉仕にしり込みするだろう。しかし今この時に踏みこたえる者は、男女を問わずすべてのものから愛や感謝を受けるに値するのだ。~
アメリカの危機(P.117)
アメリカの危機」の冒頭です。唐突に”夏場だけの~”というフレーズが出てきますが、発行されたのが1776年12月23日、真冬想定の文書です。
そして1776年12月25日早朝、デラウェア川沿いに退却してきたアメリカ軍がイギリス軍へ逆攻勢を掛けるに際し、ワシントン将軍がこの一節を兵士の前で読み上げさせたそうです。効果抜群だったと思います。
(なお、イギリス軍はクリスマス明けで酔っ払っていて満足に応戦できなかったらしい……)

 

~臆病のために屈従するならば、悲しいかな、次のような種々な不幸を甘受しなければならない。それは、破壊された郷土ー人口の減少した都市ー安全でない住居ー希望のない服従ヘッセン兵のために兵舎や売春宿に化したわが家ー扶養しなければならない父親不詳の子供、などである。この想像図を見て涙を落とすがよい。~ 
1776年12月23日  
アメリカの危機(P.131)

きつい一文です。
現在も。ウクライナはロシアに頑強に抵抗を続けています。屈服しないのは同じことを考えているためでしょう。