Kawataka’s diary

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となりのトトロ

夏が始まって2週間、37℃越えの日々が続きます。結局のところ、今年も猛暑でした。そろそろしんどい。早く涼しくなってほしい。

 

昨晩の金曜ロードショーは宮崎アニメ「となりのトトロ」、久しぶりです。
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こちらは小説版の「となりのトトロ」、イラストは宮崎駿

バス停でトトロに貸した傘、映画ではトトロが持って行ってそれっきりなのですが、小説では、翌朝、家の前の小径に傘がおかれていたとなっています。トトロが返しに来たらしい。トトロ、鷹揚な感じですが細かいところまで気が回る。

 


五月。
しめりけをおびた土の中から、ゆらゆらと湯気のようなもやが立ちのぼる。
自転車は、ゴロゴロした石をよけながら走っていく。太陽が田や畑にやわらかな光を送る。風に髪がなびいて、歌でもうたいたくなるようだ。
「五月に五月と五月を連れて」P.75
お化け屋敷に引っ越してきた草壁一家が、お母さんのお見舞いに結核療養所へ。五月にサツキとメイを連れて。

父さんは大学で考古学の研究をしているのですが、
「お父さんはシャベルを使うの、天才じゃないの?」
「僕は不器用なほうだ。論文向きなんだな、どちらかというとね。」P.76
だそうです。

さらに、病院でサツキと母さんの会話では、翻訳もやっていることが分かる。たぶんアルバイト。父さんは教授先生ではなくて、助手か講師といったポジションでしょう。
「大学って、あんまりお金くれないところなのよ。」
「翻訳もやってるじゃない」
「うん」
「あれ、お金くれないの?」
「ううん、くれる。でも、ほら、私が病気で、病院にたくさんお金を払わなくちゃいけないでしょう。」P.84
お手伝いさんを雇うにもお金がかかる、っていう話の流れからです。

じゃあ、なんで引っ越したのか、っていうと、
「ちっともたのしくないもの」
「いつまでもいそうろうをするのは良くないし。自分たちの力だけでなんとかするの、あたりまえのことだもの」P.84
どちらも母さんの言葉です。

引っ越す前は母さんの実家で暮らしていたが、居心地が良くなかったみたい。伯母さんがいたからか。
実家は「都心ちかくの大きな家」で、お手伝いさんが二人もいた。サツキとメイがおばあちゃんと一緒に銀座のデパートで昼ご飯を食べてタクシーで帰る、っていう場面が出て来ます。(昭和30年代の話です。)たぶん実家は結構なお金持ち。不自由なかったはず。それでも、小さくてもボロでも自分だけの家を持ちたかったんでしょうね。

ラスト、9月の半ばに、お母さんは退院してちゃんとお化け屋敷に帰ってきます。
一目見て、うれしそうに、「ボロねえ、この家!」と。
聞いていた通りのオンボロで気に入ったらしい。おもしろい母さんです。

 

「ちくしょう、夜がなけりゃあなあ、まだ遊んでられんのになあ、くやしいなあ、おれ」P.218 
夏休みを過ごす大垣勘太の魂の叫び、名言です。