Kawataka’s diary

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大は小を兼ねる CH-47はMV-22を兼ねる?

中日新聞の今日の社説から。
後半を要約:「陸上自衛隊長期防衛戦略はオスプレイを想定していなかった。陸自はCH47大型ヘリを55機も保有しているからオスプレイを導入する必要はなかったそうだ。だけど政治家主導で導入を決めてしまった。」「暴走する文民統制
アンダーラインは社説そのままの表現。


 なかなか破壊力のある社説です。

 

戦略は内外の環境変化を受けて柔軟に変える必要があります。また、想定していない新装備が出てきたらそれを戦略に織り込めばよいのです。戦略をずっと変えないとか戦略が想定しない装備は導入しないという発想はいかがなものかと。
MV-22は防衛作戦には多いに活用できると思います。CH-47にはできないことができますから。


この社説をNIE活動の教材にする学校もあるんでしょうね。であれば、生徒さんにはCH-47チヌークとMV-22オスプレイを比較して考察してもらいたいです。単純な「大は小を兼ねる」で良いのかどうか、議論してみては。
具体的には、まずCH-47はMV-22を代替できるのかという点を議論し、次に日本の防衛作戦にMV-22は必要なのか不要なのか、を議論す。。面白い議論ができると思います。

  MV-22B オスプレイ CH-47F チヌーク
全長(回転翼含む) 17.5m 30.1m
全幅(回転翼含む) 25.54m 18.3m
全高 6.73m 5.7m
空虚重量 15,032kg 10,185kg
積載量 9,070kg 10,886kg
乗員数 乗員4名 乗員3名
  乗客24-32名 乗客33–55名
最大速度 565km/h 315km/h
巡航速度 446km/h 240km/h
航続距離 3,590km 2,252km
行動半径(航続距離÷3) 1200km 751km

上表はウィキペディアの(V-22オスプレイ)のページから抜粋しただけです。正味5分でした。NIEのためにはもっと調査する必要がありますが、まずはこのくらいのデータから議論を始めてみては。

この表を見ると、MV-22の長所はスピードと航続距離ですね。プロペラ機並みのスピードが出せて、大阪から青森まで無給油で往復できて、短距離離着陸ができる。
では、いいことばかりですが短所はないでしょうか?調べてみると出てくると思います。それらを総合的に見て要否を議論してはどうかと。

 


※プロペラ機並みといっても遊覧飛行で使われるセスナの速度は最高300km/h程度だからそれよりも速いです。比較の際に良く出てくるのは零式艦上戦闘機五二型。最大速度565km/hということだから、MV-22とほぼ同速です。

※端折りましたが、社説の前半、オスプレイの事故率にかかわる記述もなかなかでした。空軍版オスプレイとはCV-22のことでしょうが、CV-22は戦闘捜索救難などの特殊作戦に使われている機材だからさぞかし荒っぽく使われているものと推測します。訓練も過酷でしょう。なので事故率も高くなっているという可能性が高い。
このあたりはネットで検索したらすぐにデータが出てきます。例えば→
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20150509-00045554/
もちろん裏取り取材は必須ですが。どの程度取材したうえでの社説なのか、気になります。

※非常に気になったのはMV-22をオスプレイと表現するのに対して、CH-47をチヌークと表記しない点。表記のブレはやめてほしいものです。もちろん新聞社の意図はわかりますが。。。

※「暴走する文民統制」というフレーズには圧倒されました。この一文の破壊力はすさまじい。文民統制とはもともとどんな意味だったか、ちょっと考えてしまいました。