Kawataka’s diary

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映画「劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ」 感想など

響け!ユーフォニアムシリーズの最新作です。昨日ようやく公開となりました。原作を読んだのが一年半くらい前ですから長いこと待ちました。朝一、時間があったので観に行ってきました。

期待通り、作り込みが半端ない映画でした。夜の川面、雨の夜景、雨降りと日差し、グランドピアノに写り込む蛍光灯まで実写以上に実写みたい、すごい。京アニ、恐るべし。

自由曲は一曲ノーカット、セリフなしでした。このシリーズではもう当たり前なのですが、アニメ映画ということを考えると本当に凄いです。
↓どのくらい凄いかというと、いつものコンクールみたいに普通に感想が書けるくらい。↓

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コンクールの場面は映画館の音響と相まって臨場感がすさまじい。あの瞬間はコンクール会場にいるようでした。
オーボエのソロは正に独壇場、視点を360°回すカメラワークは実写ではとうてい無理でしょう。また、各楽器が目立つところはそれぞれ寄っていくし、ホルンのアップシーンでは、背景でティンパニが演奏しているところがちゃんと映っているなど、細かいところまで手抜きがない。
曲のラスト、待機中の部員が一斉に楽器を構えるシーン、そのときの真剣な表情や構えるときの手付き、恐ろしくリアルでした。いったいどうやって取材したんだか。実際のコンクール会場に行って、詳細に観察しないと描けないと思うんですが。
しかしこんな手の込んだ映像をよく作ろうと思ったものです。前作(届けたいメロディ)の演奏シーンを観た時も凄いと思ったのですが、今作はさらに上を行っていました。恐るべし。

あと、欲を言えば、音ですね。
金管の音の厚みや打楽器の響き具合をもうちょっと調節したら本当の吹奏楽ライブのようになると思います。Euphが3本あるんだから金管中音はもうちょっと厚みがあっても良いはずですし、TpやTbは本数ほどの厚み/広がりがないような気がしています。また、ハープの音は実際のホールではあんなに前面まで響いてこないと思います。
これは次作に期待ですね。

 


内容は、前作、前々作を観ていることが前提です。また小説上下巻を100分にまとめているので展開が急ぎ足でした。初見よりは小説を読んでおいたほうが楽しめる映画です。できれば、TVシリーズも作ってもらいたい。
映画「リズと青い鳥」に関連するエピソードは一切出てきませんが、あの映画が記憶に残っているために、オーボエとフルートの演奏が染み入る感じです。フルートは途中であきらめずに最後までオーボエを支え切ってました。良かった。
あと、Euphの中川さんの苦労もしのばれます。ややこしい同級生の面倒も見ながらオーディションのために練習もしてたんだと。

 

結果に結びつくかどうかわからないのに何で頑張るのか、と疑問を持つ一年生、ご意見はごもっともです。確かに世の中には頑張ってもどうにもならないことが多々あります。結局は時の運、ということが多いです。
だけど、頑張ること自体は決して無駄にはなりません。部活でも勉強でも、あのとき頑張っておいて良かったと思えるタイミングが必ず来ます。私も来ましたから。(20数年後でしたが)その時のためにいま頑張る、ってことで良いのではないでしょうか。

自分より下手な先輩との付き合い方に悩む後輩も出てきますが、それは悩むところではないです。自分のほうが上手いんだと自信をもって堂々と演奏してればよいです。
小説第一弾からこのテーマ(演奏の上手下手と先輩後輩の立場が絡み合ったいざこざ)は繰り返し取り上げられています。中高吹奏楽部の永遠のテーマなのかもしれませんね。特に高校吹奏楽部では経験者と初心者がごちゃまぜで練習するし。余計な忖度をしてしまうことが多いのかも。

面白かったのでもう一度くらい観に行くつもりです。

 

・私は中学高校とTubaを吹いていたので、この響け!シリーズではどうしてもTubaに注目してしまいます。
‐Tuba2年生の加藤さん、初心者で入部して最初は下手だったけど、一年頑張って練習した成果が出てとても上手になっていた。スケールの出来ぐあいが全然違いました。素晴らしい。(というかそういう細かい演出が素敵です。)もう一年間頑張って来年はコンクールに出て欲しいものです。
‐Tubaの鈴木さん(背が高いほう)、なぜか一人だけピストンチューバでした。マイ楽器?楽器が足りなかったから他校から借りている?何かの伏線?本当に謎です。描くのには全部同じモデルのほうが楽でしょうに。あえて変えた理由を知りたい。
ピストンだから構えたときにベルが自分の右(舞台の奥向き)に向きます。左隣の3年生は二人ともロータリーだからベルが自分の左向き(舞台の手前向き)。並び順が逆だとチューバを構えるときにお互いのベルをぶつける危険がありますので、必然的に鈴木さんは奥に座ることになります。あるいは間隔をあけるか。*1
なお、ピストンチューバと言っても、4番ピストンが1~3番と横並びではなくて左手人差し指で操作するように低い位置にあるモデルでした。黄前さんのEuph.のように。
たしかに、チューバのピストンは重いし押し込み距離が長いから右手小指よりも左手人差し指のほうが楽に演奏できそうです。しかしあんなモデルがあるんですね。知らなかった。*2
(私は、高校1年まではピストンで高2だけロータリーでした。ピストンだと速い指回しが難しいからロータリーが羨ましかったのを覚えています。鈴木さんは、3年生が卒業したらロータリーチューバに変えるんでしょうか。次作がもしあるなら、非常に気になります。)
‐一方で背の低いほうの鈴木さんはロータリーチューバの色合いが一人だけ濃かったような気がしました。これも謎です。何ゆえ仕様を変えたのか?

・Euphの1年生久石さんはマウスピースがシルバーではなくてピンク、備品ではなさそうだから私物?中学生時代のユーフォニアム練習シーンでもマッピがピンクでしたのでたぶん私物かと。本当にこの映画は設定が細かいです。

・練習はじめのチューニングB♭、TVシリーズの初回に比べたら恐ろしく上手くなってました。それから新歓ミニコンサート、一年前の暴れん坊将軍とは比べようもないくらい上手でした。

・一発目の曲がPUFFY吹奏楽Ver.)でした。視聴者ターゲットが40歳台です、相変わらず。

・2016年の吹奏楽コンクール関西大会はロームシアター京都で開催されました。だから、作中でもコンクール会場としてロームシアターが出てきました。
響け!シリーズにおいては当然のこと、この程度の再現にはもう驚かなくなりました。薄緑の京都市バスが行きかう岡崎公園付近の映像が実にリアルでした。

 

*1:GW連休に数年分のコンクールDVDを見返していたらピストンがロータリーよりも手前に座る学校が何校かありました。なので、必然ではなくてぶつけなければok。

*2:これもDVDを観ていたら4番ピストンが右手操作のチューバが2校くらいありました。そこそこメジャーなモデルのようです。